企業CSR・社会貢献活動
花王株式会社
花王は、「よきモノづくり」を通じて、豊かな生活文化の実現に貢献できることを使命としています。"よきモノ"をお届けする事業活動とともに、よき企業市民として、社会に貢献することを目的に社会貢献活動に取組んでいます。
グリーントラストうつのみや ワーキンググループ(団体のウェブサイト)
- 栃木県宇都宮駅より3km、市街地の中に広大な緑地がある。周りを住宅と団地、公園に挟まれた形で残る長岡樹林地。ここを拠点に活動しているのが「グリーントラストうつのみや 長岡の森ワーキンググループ」だ。
同グループは「財団法人グリーントラストうつのみや」のワーキンググループの1つ。グリーントラストとは土地を募金で買い上げることや、地主とその土地を保護する契約を結ぶなどして、自然を残していこうとする運動のことである。同財団はもともと、野鳥の会などでそれぞれ活動していた人たちが、身近な緑を残したいという思いを持ち、集まってできた団体で、活動を始めて今年で15年目になる。現在では市内6つの緑地で、それぞれグループを作って保全管理活動を行っている。
6つのグループのうち、一番広大なフィールドを持つ長岡樹林地を管理している長岡の森ワーキンググループは現在、周辺の樹林地約100haのうち、約10haを管理しており、そのうち0.5haを市の協力を得ながら買い上げている。長岡の森ワーキンググループリーダーの合田健二さんにお話を伺った。
この長岡樹林地は、市内にある緑地を残したいと考えている所有者の方から管理を任されている。作業は1に1~2回、毎回20名程度が参加していて、作業内容は自主的にそれぞれが考えて行っている。専門知識の必要な作業もあるが、それぞれが木を切ったり下草を刈ったりと、できることを役割分担して進めている。長岡樹林地の保全計画もみんなで勉強しながら立てたという、意欲のある人たちだ。作業日には作業だけでなく、料理を作り、それを食べながら語り合うなど、メンバーはとても楽しんでこの活動をしている。
- 長岡樹林地での活動風景
環境豊かなフィールド
- 長岡樹林地の中には多彩な環境が存在している。コナラ林、ヒノキ林、ハンノキ林、マツ林、草地や藪、沢、ため池、田んぼに畑など。元々あった環境に手を加えたことで、植生が変化し、生物相も変化してきた。
この多彩な環境はグループの活動によってつくられたものもある。グループが最初のプロジェクトとして取り組んだのがため池造りだ。50年以上も使われずに涸れていたため池を復元した事が、水辺の生物が数も種も増加することにつながった。木々の枝打ちや下草刈りを行って林内を整備し、また栗が多かった林を人が利用しやすいコナラ林に変える管理も行ってきた。松枯れの被害にあって少なくなってしまったマツ林を復活させようという活動は今年で4年目を迎え、マツに適した環境をつくったことで現在では小さな実生が多く生えるようになった。メンバーが藪を切り開いて造った畑では林内の落ち葉などで作った腐葉土が使われている。
ここには希少な種が少なくない。湿地を中心にトウキョウオオサンショウウオが生息しており、何とここが生息地の北限だという。今は見ることが少なくなったゲンジホタルも、ホトケドジョウやカエルなどの泳ぐため池に現れる。木々の間には里山の代表種である蝶のルリタテハも姿を見せる。また、藪や草原にはノウサギやキツネ、マツ林にはオオタカも現れるという。市街地の中にある緑地に、これだけの環境があり、希少な生物が生息しているというのは、誰も想像がつかないことだろう。 - 市街地に近いにも関わらず、フィールドの環境はとても豊かだ
活動を広げるために
長岡の森ワーキンググループでは作業とは別に、定例行事として自然観察会や、子供の体験教室、炭焼き教室、きのこ栽培などのイベントも行っている。自然観察会ではフィールドの中を案内し、炭焼き教室では竹炭をドラム缶を用いて焼き上げ、きのこ栽培ではほだ木つくりや菌植え等、多くの人に自然に触れてもらうようにしている。こうしたイベントを通じて自然の素晴らしさ、大切さを感じてもらい、活動を理解してもらうことで仲間を増やしたいと考えている。合田さんは現在の課題として「支援者を増やすこと。トラスト運動をしていくには企業の支援も必要」だと語っていた。
長岡樹林地は、古くより私たちが親しんできた里山の姿が残っている。ここは多様な環境、豊富な植物相、生物相があり、自然の素晴らしさというものを感じることのできるフィールドだ。グリーントラストうつのみやの活動がこれからも広く、長く続き、このような場所がいつまでも多く残っていくことを私は願っている。