企業CSR・社会貢献活動

花王株式会社

花王は、「よきモノづくり」を通じて、豊かな生活文化の実現に貢献できることを使命としています。"よきモノ"をお届けする事業活動とともに、よき企業市民として、社会に貢献することを目的に社会貢献活動に取組んでいます。

つるがしま里山サポートクラブ(団体のウェブサイト

池袋から電車で鶴ヶ島市へ。美しい平野が広がる風景を見ていると、1時間の距離があっという間に感じた。
今回取材させていただいた「つるがしま里山サポートクラブ」は、現在同市内にある7つの「市民の森」と呼ばれる里山の一部と、近隣市町村の民有林で、森の修復・保全活動を行っている。「市民の森」は、登録年より20年間の約束で、市が地権者から無償で借りて一般開放しており、その代わりに地権者は固定資産税の軽減と相続税減税が約束されている。市が借りた里山の一部管理を任されているのが同クラブというわけだ。

行政・企業・市民の「協働」

「つるがしま里山サポートクラブ」の大きな特徴として、企業・行政・市民の「協働」で会が運営されているということがある。2002年に市が企業と市民の「森林整備」企画を持ちかけたことをきっかけとして立ち上げられた同クラブは、とても必要なものだが、実現が非常に難しい「企業・行政・市民の連携」を見事なバランスで遂行している。
これを象徴的にあらわすのが役員メンバーの顔ぶれだ。代表を務めるのは、「市民」の小沢邦彦さん、事務局と経理担当は、鶴ヶ島市在所企業のCSRの一環として同クラブに関わる吉井優さん、監査役には、「森林整備」企画の仕掛け人でもある市役所勤務の吉田常男さんがいる。「つるがしま里山サポートクラブ」では、これら別々の立場の人々が「森林を守る」という共通の目的で結ばれ、日々の活動に取り組んでいる。現在、会員数は約70名。参加者は男性が多いが、最近は女性や子どもの参加者も増えているそうだ。
親子づれの参加者も多い。清掃活動終了後、みなで談笑中。

「蛍のいる川辺を」

同クラブの大きな特徴として挙げられるのは、そのイベントの多さである。
「クロスカントリー大会」「キャンドルナイト」などを始め、毎月様々なイベントを行い、市民との積極的な交流を図っている。「森を知らないと大事にすることもできない。だからまずは里山に来てもらうことが大切」と吉井さんを始め、メンバーの方々が口をそろえて主張していた。「つるがしま里山サポートクラブ」では、とくに、「未来の大人」である「子ども達」に「森のよさ」を知ってもらうことが大切と考え、子どもや親子連れに楽しんでもらえるような企画を常に立案しているという。最近では、「キャンドルナイト」の日に、森の遊歩道にキャンドルをともし、購入した130匹の蛍を川辺に放虫した企画が大好評だった。「ついでにそのまま蛍が繁殖してくれるといいなと思っているんだけどね」と笑顔で話してくださった小沢さん。美しい水辺でしか生きられない蛍。しかし、美しい川の水を見た私には、十分実現可能なことに思えた。

「怪しい森」から「美しい森」へ

現在は、蛍も住めそうなほど「美しい森」になった里山だが、会が発足したつい数年前までは、あらゆるゴミが不法投棄され、木々が生い茂り、活動に参加していた近所に住む主婦の福島さんいわく「怪しい森」だったそうだ。クラブを発足し、まず行ったのは、「トラック2台分のゴミ拾い」だったそうだ。その後、一年以上かけて木々を手入れし、遊歩道を作っていったのだという。今では、捨てられるゴミの量が年々少なくなり、実際、私が参加した日も、3ヶ月ぶりのゴミ拾いだというのにも拘らず、1時間森を探索してやっと数個のゴミを発見したのみだった。「汚いところには、人はゴミを捨てるし、きれいな所にはゴミをすてないもんなんだよ」。吉井さんが嬉しそうに語った。
かつては「怪しい森」とされていた里山だが、現在では、美しく変身し、近所の学童保育の子ども達や親子連れの遊び場として市民に親しまれている。「つるがしま里山サポートクラブ」のメンバーの地道な活動は、確実に市民に受け入れられ、「森」に対しての市民の意識を高め、子ども達に明るい未来を残すことへとつながっている。
フィールドの中でオリエンテーリングが
できるように整備されている小径。
活動に参加して-執筆担当:酒向 真理 立教大学 社会学部社会学科「自然っていいな~!」10月中旬、「つるがしま里山サポートクラブ」を訪れた日の夜、布団の中で強くそう思った。
東京の中心街に住む私は、普段の生活ではほとんど自然と触れ合うことがない。
クラブを訪れた際は1年ぶりの森林体験だったので、始めのうちは、顔の目の前に現れる巨大なクモの巣や、蜂に思わずキャーキャー叫んでしまった。だがしばらくすると、森特有の香り、川のせせらぎ、鳥の歌声、木の葉が風に揺れる音など、森の全てが心地よく、体が開放されていくようだった。こんなにもすばらしい自然が身近にある鶴ヶ島の人々は本当にラッキーである。帰路に着く際思わず、鶴ヶ島に引越しすることまで考えてしまった。今は、さすがに、引越しは諦めたが「自然っていいな~!」という気持ちは、まったく変わらない。自然の素晴しさを再認識させてくださった「つるがしま里山サポートクラブ」の皆様と、「みんなの森の応援団」には、心から感謝したい。