企業CSR・社会貢献活動

花王株式会社

花王は、「よきモノづくり」を通じて、豊かな生活文化の実現に貢献できることを使命としています。"よきモノ"をお届けする事業活動とともに、よき企業市民として、社会に貢献することを目的に社会貢献活動に取組んでいます。

特定非営利活動法人 やまんばの会(団体のウェブサイト

やんちゃなこどもたち

 9月29日、滋賀県米原市にある、やまんばの森では子どもたちの声が響きわたっていた。この日はNPO法人やまんばの会が月に一度行っているモッコクラブの活動日だ。作っているのはツリーハウスとなんと、竪穴式住居!
 「現在の子どもたちはゲームで遊んだり漫画を読むだけで、外では遊ばないと言われていますが決してそうではありません。」こう話すのは、やまんばの会の理事である広瀬正明さんだ。

里山に新しい価値を

やまんばの会は当初、松枯れの松を伐採する作業を請け負う団体としてスタートした。とても広いフィールドにモノレールを敷設してしまうほどの情熱で、たちまち松枯れした木を山から減らしていった。
 ここからやまんばの会の活動は徐々に広がりをみせていく。「メンバー同士でやりたいことを話し合ったら、沢山でてきて…それを全部やってしまおうかということになったんです。町役場からも『どうぞご自由に』言われましたしね。みんながやりたいことを持ち込むことが、里山に新しい価値を生み出すことにつながると思っています。」
 さまざまな取り組みを展開させた。地域の人にやまんばの会の活動を広く知ってもらう「やまんばの森学園祭」から、森につくるトイレをどんなものにするか意見を出し合う「たのしいトイレづくりワークショップ」まで。このユニークさがやまんばの会の特徴だ。
 モッコクラブの活動もこうした流れのなか2004年に発足。今年で4年目になる。
広瀬さんと子どもたち

子どもたち自ら考え、作り上げていく

 モッコクラブでは子どもたち自らがやりたいことを見つけ、それをどうやったらできるか子どもたち同士で話し合いながら実行していく。ツリーハウスも竪穴式住居も、全て子どもたちで考え、話し合い、作り上げていく。大人はどうしても行き詰まったときにアドバイスをするだけ。普段は暖かく見守っている。
 加えてもうひとつの特色は、子どもたちがのこぎりやつるはしを持って作業をしているという点である。「危ないからといって子どもたちに使わせなかったらその危険性は分かりませんから。もちろん安全には最善の注意は払っていますけどね。」と広瀬さん。
竪穴式住居づくり

「楽しみながら」をモットーに

 モッコクラブのこうした取り組みは、子どもたちに自然の楽しさを知って欲しいという想いからきている。広瀬さんは言う。「『モッコクラブ』では、基本的に"自然を守ろう"とは伝えません。それよりも、モノづくりをして遊ぶことでこの森が好きになってくれればと考えています。この森では捕まえた虫や蛙を粗末にする子はいません。」自然が好きになれば、結果として自然を守ろうという人間に成長するという逆転の発想がそこにはある。
 環境教育という考えが広まってきている。だが、環境を守る技術や知識を教え込むだけの現場を私は体験したことがある。やまんばの会では「森に来た時と帰る時の子どもたちの目の輝きが違う」という。やんちゃな子どもたちが時間を忘れ夢中になっているやまんばの森。彼らの挑戦はまだまだ始まったばかりだ。
活動に参加して-執筆担当:岡田 航(早稲田大学 人間科学部人間環境科学科)「竪穴式住居の入り口が坂になっていて、滑りやすくて危ないよ。」「そうだね。どうすればいいかな。」「階段があれば入りやすくなるんじゃないかな。」「じゃあ、そうしよう。」早速女の子2,3人が入り口の前に階段を作っていく。「木を使ったほうが崩れにくくていいと思うよ。」女の子はのこぎりを使って気際よく木を切る。男の子は竪穴式住居の穴を、つるはしを使って掘り進んでいく。自由時間には木の実をおいしそうに食べ、一心不乱にカマキリを追いかける…都会ではもちろん、田舎でもなかなか見られなくなってしまった光景かもしれない。活動に参加して、子どもたちのやんちゃさにただ驚かされた。
 最後に深夜までお話を聞かせてくださり、山小屋で一晩を共に過ごした広瀬さんと北村さん、暖かく迎え入れてくださったそしてやまんばの会の皆様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。