企業CSR・社会貢献活動
花王株式会社
花王は、「よきモノづくり」を通じて、豊かな生活文化の実現に貢献できることを使命としています。"よきモノ"をお届けする事業活動とともに、よき企業市民として、社会に貢献することを目的に社会貢献活動に取組んでいます。
港北ニュータウン緑の会
神奈川県横浜市、横浜市営地下鉄ブルーライン「センター北」駅の改札をでると、そこにはデパートとともに、大きな観覧車が目に入る。閑静な住宅街を歩くこと5分。突然目の前に大きな遺跡公園が現れた。「大塚歳勝土遺跡公園」この公園こそが、港北ニュータウン緑の会(以下「緑の会」)の主な活動拠点である。「緑の会」の活動について、代表の永田和宏さんにお話を伺った。
敷居は低く、志は高く
- 横浜市が港北ニュータウンの開発を開始したのは1965年。開発にあたって、市は一定区画の緑道や緑地を残すことに決定したが、住民が居住を始めると緑地、緑道を管理する者がいないという事実が判明した。「このままでは、せっかく残した木々が荒れてしまう。」そう思った住民同士が声を掛け合い20人ほどのボランティアが集まって、活動を始めた。木々の管理などの経験はない人がほとんどで、知識もほぼゼロからのスタートだった。そのころ、永田さんたちとは違う地区でも同じように、地域の公園や団地の保存緑地を管理するための愛護会が各地で発足し、活動を行うようになった。それぞれに活動を行っていた愛護会が連合して、1992年に「港北ニュータウン緑の会」は誕生した。
結成当時緑の会は、地域内のいくつかの公園の整備を行っていたが、1998年の大塚歳勝土遺跡公園の開園を境に活動の中心場所をこの公園に変更した。現在では、公園内の雑木林や、竹林の維持、整備を中心に活動している。大塚歳勝土遺跡公園には手に負えないほどの竹林があり、緑の会はいくつかの竹林を雑木林に戻そうという取り組みを行っている。ただ、竹は生命力が強いので、3年間は竹を切り続けなければならない。また、公共の場を整備するので、参加者には一定以上の技術力が求められる。そのため緑の会では、「市民に自然管理の力量をつけること」を、大きな目的としている。
緑の会は誰もがどこからでも気軽に参加できるような体制であることに気を使っている。そんな緑の会の会員は現在、100人近くいる。その約3割が港北ニュータウン以外の住民である。あるメンバーは鎌倉から通って活動に参加している。緑の会の活動などに参加し、知識や技術力を身につけて、現在では別の場所で活動しているメンバーもいる。 - きれいに整備が進んでいる活動現場
地域の人に「楽しみ」を
- 現在、緑の会が抱えている大きな問題の一つは、近隣住民の入会が少ないことである。緑の会では、少しでも会のことを知ってもらうために、タケノコ堀や竹トンボ作り、チェーンソー講座、工作教室を開催している。地域交流の場として、いっぷく祭りがあり、緑の会ではバウムクーヘンを販売し、こどもから、大人まで大人気だという。しかし、この祭りでの収入はなく、大きな赤字となっているらしい。会員たちは「緑の会を知ってもらいたい」「純粋に祭りを楽しんでもらいたい」という思いから祭りへの出店やイベントを開催しているのだが、これらの活動を近隣住民の入会へ繋げるには未だ多くの課題が残っているようだ。
- 熱心にチェーンソー講座を行う永田さん
ボランティアを楽しもう!!
- この会の年会費はわずか1000円。行政からの補助金は10万円。道具の購入や修理だけでも、年間30万円かかるので、これだけでは明らかに資金不足である。しかし、なんと、この会では「小遣い」をもらうことができるのだ。緑の会では公園の敷地内にある民家園や個人住宅の庭の委託管理などで資金集めをし、その中から会員に「小遣い」を渡している。現在では、定例作業への参加、週2回の公園の巡回を1回行うごとに、それぞれ500円程度支払われる。金額は毎年会の財政状態によって異なるが、それを年度末に支払うことで、4万円もの金額になることがある。しかし、ボランティアなのにお金をもらってもいいのだろうか。抵抗がある人もいるだろう。緑の会では、活動者一人一人にある程度の技術が求められる。小遣いがあることで個々人の技術力が更に向上し、公園の管理レベルも高まっている。また、最初は受け取りに戸惑っていたメンバーも「小遣い」の意味をきちんと共有しており、今では会員の楽しみの一つとなっている。孫に何かプレゼントを買う人、飲み代にする人など、使い方はそれぞれだ。
「小遣い」制度のあるボランティア団体を「ボランティア」とは呼ばないかもしれない。しかし無理のない活動参加や小遣い制度は、全て会員が楽しんで活動できるように考えられたものである。会員の目線にたった緑の会。きっとこの会に参加すれば、純粋に自然と触れ合う楽しさを味わうことができるだろう。