企業CSR・社会貢献活動
花王株式会社
花王は、「よきモノづくり」を通じて、豊かな生活文化の実現に貢献できることを使命としています。"よきモノ"をお届けする事業活動とともに、よき企業市民として、社会に貢献することを目的に社会貢献活動に取組んでいます。
東大和市狭山緑地雑木林の会
東京都と埼玉県の境に位置する狭山丘陵の南側に、約14.5haの里山がある。コナラを中心にクヌギ、アカマツが点在し、ヒノキの植林地や竹林のある「東大和市立狭山緑地」が「東大和市狭山緑地雑木林の会(以下、「雑木林の会」)」の活動場所である。
歩いてみると、1周30分以上もかかるほど広く、傾斜も多くて、まるでハイキングや山登りでもしているようだ。緑地ならではの涼しさもあり、外と比べて木陰は気温が5度ぐらい低く感じられるほど、緑に多く囲まれている。
今回、「雑木林の会」の活動について、代表の深井静一さん、清水由美さん、野澤哲男さんの3人にお話を伺った。
始まりは1年間のボランティア―継続の大切さ
- 東大和市が「東大和市立狭山緑地」を開園したのは1985年。かつては生活林としての里山であったが、時代の趨勢によりその機能を失い、放置された林になっていた。そこで市は、「狭山丘陵のみどりを東大和市のシンボルとして残し市民に親しんでもらいたい」と決意し、順次、地権者から土地を買い取る計画を立て開園した。現在では緑地の約8割が市の土地となっている。
しかし、里山の保全は土地を確保すれば終わるものではなく、適切な維持管理が必要である。手入れをしないと暗い林になってしまい、市民が入ることができない。そのため、市がボランティアを募り、1年間という期限付きで保全管理を行なった。間伐等を行い保全の成果は上がったものの、1年間だけではまたすぐに元の暗い林に戻ってしまう。
そこで、その時のボランティアが母体となって、1997年10月に自主運営の団体として「雑木林の会」を設立させた。
- 手入れされ、光の差す東大和狭山緑地の散策路
いのちにぎわう狭山緑地
- 市民に肌に触れ親しんでもらえる林にすることが「雑木林の会」の活動目的である。里山、生活林に近づくように、そして親しんでもらうための工夫を行い新しい形の里山にしようと活動を行っている。
「この緑地を『リクリエーション林』あるいは『学習林』にしたいんです」と深井さんは言う。そのためには多様な生物や植物が生息する林でなければならないし、そのための環境を作る必要がある。あるエリアは、間伐を行なって適度な日差しが入るようにし、丈の低い草木や花が育つようにしている。また、暗い所を好む動植物もいるため、あまり手を入れずに残すエリアも作る。このように、人のためだけではなく生物や植物の多様性を保った共生を理想としている。
雑木林の会では、緑地内を区切り、年度初めにそれぞれの活動計画を立てている。暗い所もあれば明るい所もあり、その区域の性質に合わせ、ところによっては機械だけではなく手作業での草刈りなどを行っている。
また、園芸種は繁殖力が強く、もともと緑地に生えている野生種を駆逐してしまうことがあるため、園芸植物が生えてしまった所は1つずつ手作業で抜くこともある。抜くという行為は、花が好きな人には理解されにくいが、「そうした活動中に『何しているんですか?』と通りかかった人に声を掛けられ、説明して理解してもらうこともあるんですよ。」と清水さんは言う。
- 急な傾斜地での下草刈りの様子
若い世代に、緑の大切さを
- 「雑木林の会」は、会員の一人でもある野澤さんが世話人を務める「雑木林を楽しむ会(以下、「楽しむ会」)」と連携し、楽しむ会のイベントや児童館での催しに参加・協力して、子どもたちに自然の楽しさ、大切さを伝えている。
「雑木林の会」が保全管理を、「楽しむ会」がイベントを、と役割分担することにより、それがうまく作用して緑の大切さを伝えている。
「楽しむ会」のイベントは、観察会やカブトムシ採取など子どもたち向けの内容で行なわれる。「親子での参加も多く、こうした活動が後継者の育成に繋がっていくといい。」と深井さんたちは言う。
「雑木林の会」の活動は一見地味に見えるが、その活動の継続こそが緑を残すことである。だから、今ある緑の大切さを若い世代に伝えていかなければならない。若い人たちに、少しでも里山に対する理解、関心を深めてもらい、その気持ちと共に活動を受け継いでいってもらえればいい。そうすることが「雑木林の会」の皆さんの思いを繋げることになる。