企業CSR・社会貢献活動
花王株式会社
花王は、「よきモノづくり」を通じて、豊かな生活文化の実現に貢献できることを使命としています。"よきモノ"をお届けする事業活動とともに、よき企業市民として、社会に貢献することを目的に社会貢献活動に取組んでいます。
特定非営利活動法人 こが里山を守る会
茨城県古河市。古河駅を降り駅からの一本道。町を抜け、工場地帯を抜け、のどかな平地を突き進むと、そこは稲宮地区のフィールド、通称『稲宮の森』。広葉落葉樹林(コナラ、クヌギ、クリ)が多くを占める平地林であり、『こが里山を守る会』が森づくり活動を行っている。今回『こが里山を守る会』の理事長である蒔田睦郎さん(以下、蒔田さん)にお話を伺い、活動に参加させていただいた。
不法投棄から『美しい里山を取り戻したい』
- バブル時代、茨城県の多くの里山が投資目的に買われていたがそんな時代も終わり、地域での里山としての利用を考えていなかった所有者によって荒れ放題にされてしまった。一方、もともと里山を所有していた方たちは高齢化により整備が難しくなっていた。さらに、稲宮の森は国道沿いの平地林という環境も合わさり“不法投棄”の場にされてしまった。
こが里山を守る会は荒れた地元の里山を見かね、「元のきれいな里山を取り戻したい」と蒔田さんが発起人となり、志が同じ人たちに声をかけ、発足から1年後にNPO法人化した。当初は「何か裏があるのでは?」と地主や地元の方に“ボランティア活動の意味”を理解してもらえなかったそうだ。しかし、無償で荒れ放題だった稲宮の森を黙々と汗水流し整備することで美しい里山の姿が取り戻され、徐々に周りからも理解され、今では多数の人から「うちの里山をきれいにして欲しい」と依頼されるようになった。
- 明るく整備され、クリの実が豊作となり地面一面に落ちている稲営の森
『こが里山を守る会』のきれいな里山づくり
実際に活動に携わった人たちは、きれいになった活動場所から自分たちの成果を実感し、そんな人たちから口コミで友達へと活動が伝わり、今では地元の方だけではなく他の地域の方もメンバーに加わっている。
「ゴミを捨てられない環境を作ることが大切」と蒔田さん。以前、不法投棄されていた稲宮の森は整備することで明るい森に回復し、不法投棄されにくくなった。また、子どもたちにも活動に参加してもらうことで“ゴミを捨てた場所がどうなってしまうか”ということを理解させ、大人には良心に訴えるようにしている。「子どもたちが里山をきれいにしているのに、良心ある人ならばゴミは捨てない」と蒔田さんは話す。
こうした活動が評価され、2012年10月27日に茨城県森林ボランティア団体活動コンクールにおいて奨励賞を受賞した。この賞は周囲からもこが里山を守る会の活動成果が認められた証であり、報告を聞いたメンバーの方たちにもうれしそうな笑みがこぼれていた。
子どもたちに『森の魅力』を知ってもらいたい
- 稲宮の森には日が良く差し込み、畑を作ることができる場所がある。この場所を有効利用できないかと、今年の10月31日から“どんぐりからの元気な森づくり活動”という3年間でどんぐりの苗木を成長させ植樹を行う長期計画が始まった。「一過性で終わっては何も意味がない。森と触れ合える“継続性”に意味がある」と蒔田さんは話す。子どもたちがどんぐりを拾いその実を植え、草むしりや水やりを行い、苗を成長させていくことで一過性にならず森と触れあう機会が作られ、“森の魅力”を経験することができる。森を走り回りながら楽しそうにどんぐりを拾い、最後には森の中でおいしそうに豚汁を食べながら、「こういう場所があって良かったなぁ」と話す子もおり船出は大成功であった。
- 子どもたちがどんぐりを里山に植えている様子
森づくり活動に対する『継続性』
森づくり活動を継続させるために“高齢者から若者へのバトンタッチ”が重要だが「今の時代は親も森に入ったことがない」と蒔田さんは話す。そのためこが里山を守る会では、子どもたちが森を体験できる機会を作り、「今日は森でこんなことをした」、「こんな生き物がいた」と自分の体験を家で家族に楽しそうに話すことで、少しでも親たちに森への関心を持ってもらい“親が森と触れ合うきっかけ”にしてもらいたいと考えている。
また、こが里を守る会では企業との森づくり活動を積極的に進めている。3年前から“企業の森づくり”という募集を行い、現在では14社もの企業がこが里を守る会と交流関係にあり、社員の方に森づくり活動に参加してもらっている。活動後は社員の方とカレーやおにぎりを作り一緒に食事を楽しむそうです。若い社員の方に“森の魅力”を知ってもらいスムーズに若者へとバトンタッチが行えるのではと考えている。