企業CSR・社会貢献活動

花王株式会社

花王は、「よきモノづくり」を通じて、豊かな生活文化の実現に貢献できることを使命としています。"よきモノ"をお届けする事業活動とともに、よき企業市民として、社会に貢献することを目的に社会貢献活動に取組んでいます。

四街道さつき幼稚園里山クラブ

 「四街道さつき幼稚園里山クラブ」(以下、里山クラブ)は、千葉県のJR四街道駅から徒歩で約15分の場所に位置する四街道さつき幼稚園で活動している。
 「幼稚園の園庭は園児が最も身近で長く過ごす屋外環境。その空間の中で園児に自然を感じてもらいたい、良い環境を子どもたちに体験させてあげたい」という、さつき幼稚園の理事長であり現在里山クラブの代表である小島孝一さんの思いにより設立された。
 里山クラブでは幼稚園の敷地内にある「ふれあいの森」と呼ばれる空間の中で、米作り、野菜作り、ビオトープの管理など、園児が自然とふれあうことができる活動や、動植物を保護する活動を行っている。

地域活性化を自らの手で

 里山クラブの活動の主体となっているのは、さつき幼稚園に通う園児の父親たちである。里山クラブには現在48名の会員がいて、30代と40代が中心だ。多くは現在自分の子どもが園に通っている方達であるが、子どもが卒園してからも会の活動に参加している方も少なくない。活動に参加する理由を尋ねたところ「子どもたちに良い体験をさせてあげたいから」や、「他のお父さんたちと一緒に活動することが楽しいから」という声が多い。
 里山クラブでは毎回活動の後に父親たちの交流会を行っている。この集まりを楽しみに活動に励む方も多い。私が参加した際にも、参加者たちは子育ての話や自分達自身の幼少期の話、さらに、今後里山クラブで行う活動についても話し合い、とても盛り上がっていた。こうした交流会で生まれたアイデアを活動に活かすことも多々あるそうだ。「お父さん方が仕事を離れて地域での付き合いをすることで、地域の活性化をしてほしい。活動の後に交流会を行うことが里山クラブを長く続けるコツです」と小島さん。
園舎のペンキ塗りも父親たちの活動の一つだ

多様な動植物が生息する森

 小島さんは、「森はうまく手入れをすると人間に恩恵を与えてくれる」と話す。植樹やビオトープの造成などを行う里山クラブの活動場所である「ふれあいの森」には、多くの動植物が生息しており、2010年生物多様性条約第10回締約国会議(COP10) でもパネル展示で紹介されるなど様々な場で評価を受けている。園全体の敷地面積は5,547.2m2で、そのうち、「ふれあいの森」は約500㎡あり、林、原っぱ、ビオトープ、水田、畑、果樹園のエリアで構成されている。隣接する竹林も含め、住宅地の近くにも関わらず、様々な動植物の姿を見ることができる。例えば、里山クラブで植樹した木には多くのカブトムシやクワガタなどの昆虫が住んでいる。また、敷地内には四街道固有のメダカや、千葉県レッドデータブックで最重要保護動物に指定されているニホンアカガエル、同じく重要保護動物に指定されているトウキョウサンショウウオなどの動物も生息している。さらに、都心ではあまり見かけることの無いフクロウが「ふれあいの森」に姿を現したこともあるそうだ。このように多くの生物が敷地内に生息しているのは、里山クラブが植林を施し、水場を作り、丁寧に管理を続けた結果である。
里山クラブが作ったビオトープ(手前)と田んぼ(奥)

四季を通じて自然に触れる

 里山クラブが生物多様性を守るということは種の保存以外にも大きな価値を持っている。「里山というのは人と自然との接点」と小島さんは言う。里山クラブでは敷地内の豊かな自然を利用して、米や野菜の栽培など園児たちが自然に触れ合うことの出来る機会を作っている。年間を通じてこのような活動を行うことで、普段自分たちが食べている作物がどのように作られているのか、子どもたちが学ぶことが出来る。「子どもたちが自らの手で作物を育てることで、苦手な野菜でも自分が作ったものだから食べてみようという気持ちになるのです」と小島さん。里山クラブは「ふれあいの森」の自然と豊かな生物多様性を守るだけでなく、地域の父親たちにコミュニケーションの場を生み出し、また、子どもたちが動物、植物、そして自分たちが食べている食物などの自然に触れることのできる機会を作っている。
活動に参加して-執筆担当:八ツ井 弘樹(東京農工大学農学部)  8月下旬、私は今回取材させていただいた四街道さつき幼稚園を訪れ、里山クラブの活動に参加させていただいた。取材に訪れた際、小島さんに「ふれあいの森」を案内していただいたのだが、周囲は住宅街であるのに関わらず、本当に多くの動植物が生息しており心が躍った。
 暑い季節であったのに10名程度のお父さん方が活動に参加されていた。活動に参加されていたお父さん方の表情はみな明るく、本当に好きで活動しているのだなと感じた。いずれは私もこのような団体の活動に参加したい。里山クラブはそう思えるような団体であった。
さつき幼稚園での取材後に小島さんと